2018-01-01から1年間の記事一覧

「アジアにめざめたら」展を見た。−芸術の社会性についてー

東京国立近代美術館で「アジアにめざめたら」展を見た。1960−1990年代にかけて行われたアジアの現代美術を振り返るという企画展。現在、西欧中心主義の美術史に対する懐疑があり様々な価値の多様化に伴い、西欧以外の文化からの社会問題への問い掛け…

快慶・定慶それぞれのリアリズム −芸術の社会性についてー

東京国立博物館に快慶・定慶のみほとけ展を見に行った。仏像彫刻にはほとんど知識が無かったが、快慶の鬼気迫る造形をこの目で見たかったのが動機だった。しかし、結果は自分の期待を大きく上回る物であった。 先ず、快慶の釈迦十大弟子の仏像があった。舎利…

縄文から古墳へ −芸術の社会性について−

東京国立博物館平成館考古展示室を訪ねた。入り口では埴輪が迎えてくれた。とても美しい像だった。一見素朴な造形であるが、その円筒型の人体は中心線が僅かにずれていて動きがあり、その動きにつられて帽子の曲線、衣服の曲線などが相互に動き出す。不思議…

ゴードン・マッタ=クラーク ー芸術の社会性についてー

ゴードン・マッタ=クラーク展に行って来た。場所は東京国立近代美術館。事前の知識として、「スプリッティング」という解体予定の住宅を電動ノコギリなどで真っ二つにスプリット(割る)する作品が有名で、70年代のニューヨークを中心に活躍した作家で34歳…

ターナーと言えば風景画である。−芸術の社会性についてー

ターナーと言えば風景画である。風景と言うのは皆で見ることが出来る客観的なものでもある。その客観的なるモノと画家はどう向き合ったのか気になった。新宿の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館へと足を向けた。先ず会場入り口で、地誌的風景画(Topog…

ルドンと怖さ ー芸術の社会性についてー

画家のオディロン・ルドンと言えば、晩年のパステルを使った鮮やかな色彩、花や蝶のモチーフ、一つ目の巨人、目を瞑る人物画、怪しいモノクロの版画など。それらが醸し出すファンタジックな印象の奥を確かめるべく、有楽町にある三菱第一号美術館に向かった…

無名性の美 ー芸術の社会性についてー

学生の頃、駒場にある日本民藝館に行ったことがあった。初めて沖縄の紅型の染めの美しさに触れ、民芸の美しさに打たれた。今回、創設者である柳宗悦を師と仰いだ棟方志功の企画展があり、棟方志功の才能を認めた柳宗悦との関係を知りたくて訪ねた。柳宗悦は…

マイク・ケリーの作品は面白い ―芸術の社会性について―

マイク・ケリー展を青山にあるワタリウム美術館へ見に行った。マイク・ケリーは古いぬいぐるみなどを素材にした彫刻や、性や暴力などをテーマに痛烈な皮肉やユーモアを交えた映像作品で知られているアメリカのアーティストだ。先ず私を出迎えたのは、「課外…

倉重光則「Mellow Time」

先日、銀座Steps Galleryにて倉重光則「Mellow Time」展を見た。以前の作品青い発光人体EBEの次に来る作品でもある。私はギャラリーに入ると白い16個の強い光を浴びた。それらは四辺形の枠の中に円形の光源とその周りに黒い円が縁取られていた。そして反対…