2017-01-01から1年間の記事一覧

熊谷守一の不思議なカタチ。−芸術の社会性について−

東京国立近代美術館へ熊谷守一展を見に行ってきた。有名な、あの赤く縁取られた輪郭線のカタチの不思議さを確かめたかった。熊谷守一は、いつからあの独特の感覚を得たのか。先ず目に入ったのは、「轢死」と題された作品。1908年(明治41年)制作。女性が自…

長谷川等伯展を見て。ー芸術の社会性についてー

私は現代アートというジャンルで作品を作っている。現代アートとは西洋の美術史の中から出て来た美術の形式である。その美術形式を明治時代以降の近代化(西洋化)された教育及び文化の中で考えている。しかし、美術と言うものは、観念で制作するものではな…

背中合わせの実存、松下誠子作品論。

松下誠子の作品に出会ったのは、鵜の木のHasu no hanaで行われたパラフィンドレスが天井から吊るされたインスタレーションだった。そこには、松下誠子の声の作品や、写真を基にしたドローイングなども目撃した。その時の私は、作品から発せられる実存性はか…

「不良実存」展 ー思考する家ー  ”芸術の社会性について”

2017年10月8日(日)−10月30日(月)まで、千葉県江見海岸周辺で山田和夫氏が提供してくれたアトリエ兼住居であるEmiスタジオにおいて「不良実存」展が行われた。筆者である私は同じ企画の第一回目「不良」展からの参加であった。展覧会の企画をした倉重…

リンキンパークの音楽 ”芸術の社会性について”

たまたまラジオを聴いていたら、リンキンパークというアメリカのロックバンドの曲が流れていた。私はこのバンドの知識が全くなかったし、この時もさして気に留めなかった。しかし、時間が空いてスマホで音楽を検索している時リンキンパークのことが思い出さ…

ブランクーシの公園に行く。”芸術の社会性について”

有名なブランクーシの公園は、ルーマニアのトゥルグ・ジウの町にある。私はブランクーシの彫刻に対して確かめたいことが沢山あった。その衝動を確かめるべく、飛行機に乗った。最初に首都のブカレストに降り立ち、そこでレンタカーを借りて4時間ほど掛けて…

感情のグラデーション

職場で障害を持つ方と過ごす内にあることに気がついた。我々は日々様々な感情と共に暮らしている。泣いたり、笑ったり、怒ったり、悲しんだり。そうした感情は、感情のゼロポイントというのがあるとすれば、そこを上に行ったり下に行ったりしているようなも…

モーリス・ド二とピエール・ボナールの違い (芸術の社会性)

東京駅から降りて、三菱一号館美術館へナビ派展を観に行った。ナビ派と言えば、モーリス・ドニが言った「絵画とは平面に塗られた色面の集まりである」が有名だ。私はその言葉を取っ掛かりにしながら会場に入った。先ず目を惹いたのはモーリス・ドニの「ミュ…

砂澤ビッキ展を見た。 (芸術の社会性)

桜の散りかけた曇り空の中、砂澤ビッキ展を葉山に見に行った。北海道旭川の出身でアイヌを祖先に持つ彫刻家だ。私の中ではアイヌを祖先に持つことが、どのような意味を私にもたらしてくれるのか楽しみだった。先ず出迎えてくれたのは、「神の舌」と題された…

ローカルな私達。展(芸術の社会性)

“ローカルな私達。”という展覧会を2017年2月15日から23日まで高島芳幸と大川祐(筆者)の二人の作家で、上野池之端ストアフロントというギャラリーで行った。小さなギャラリー空間(3m四方くらい)だが、そこでしか出来ない展覧会を考えた。通常作家が数人…

暗闇から見えた絵画。倉重光則展

横浜の石川町にあるアトリエKに倉重光則展を見に行った。見に行って先ず思い浮かんだのは、去年の1月に銀座のSteps Galleryで行われた倉重の個展である。その時はEBE(イヴァ)という名の青いネオンで発光した人体(宇宙人のような)の倉重作品を初めて見た…

「感覚の論理学」ドゥルーズ以降の問題圏、座談会を聞いて。

両国のART TRACE GALLERYで“感覚の論理学”ドゥルーズ以降という問題圏、という座談会を聞きに行った。「感覚の論理学」ジル・ドゥルーズ著の訳者の宇野邦一、そして林道郎、松浦寿夫の三人の話を聞いた。不勉強で「感覚の論理学」は読んでいなかったが、楽し…

マリメッコ展を見て(芸術の社会性)

ケシの花の模様で有名なマリメッコデザイン。先日創業者であるアルミ・ラティアの人生を描いた「ファブリックの女王」の上映もあり、気になっていたので「マリメッコ展」を渋谷に見に行った。最初に初期のデザイナーであるヴオッコ・ヌルメスニエミのインタ…