2014-01-01から1年間の記事一覧

タイトルの謎

作品にはタイトルがある。しかし、「無題」あるいは「untitled」のように作品自身に見る人を委ねる方法もある。作品は他者として作られるものであり、作られたものであることを強調するために、タイトルをつけないことがある。私は作品を作る行為自身を考え…

行為と絵画

重度の知的障害の人たちの絵画作品に普段接していて、身体性の高い表現に多く出会う。手で描く場合、何かに見える以前の表現は、その描く行為自身が作品の強度を決めている。しかし、その行為にも様々な段階がある。行為その物であったり、イメージを伴って…

自由とは何か

また職場の知的障害者施設で考えさせられることがあった。現在利用者の日中活動として表現活動というものを行っている。彼らに好きなことを仕事にしてもらうというコンセプトで、絵画、粘土、木工、詩など何をしても良いことになっている。楽しむ中で彼らの…

絵と絵画の違い

昨日FBで投稿した、職場である知的障害者施設で実習している高校生の話から。 今日で二日目の体験実習なのだが、描いてもらった作品がなかなか良い。端的に言えば「絵画している」のだ。何故特に美術の教育を受けていない彼女が、モダニズムが獲得した絵画の…

松下誠子展を見た。

今日Gallery and cafe Hasu no hanaで松下誠子展を見た。パラフィン紙を使ったドレスのインスタレーションだった。身体性の強い作品を感じる。彼女の言葉に、人間の肉体が第一の皮膚であるなら、パラフィンドレスは第二の皮膚だとあった。この皮膚をモチー…

「絵画と物語」展を見た。

最終日ギリギリで「絵画と物語」展をアートトレイスギャラリーで見た。絵画制作の時間軸と物語の時間軸を呼応させ絵画を検証しようというもの。鑑賞時間が短かったせいで、自分の主観から感じたものに留まってしまったが、出品作家の鈴木俊輔と話すことが出…

お皿の周り。

昨日静岡のグループ展でのパーティーで作家の寺田さんと話をした。寺田さんは食べ物が載っていたお皿を指して「私はこのお皿の周りが気になるんです」とお皿の周りにある何も無い空間を指して話してくれた。私は思わず「分かります、自分もです」と言った。…

ジョセフ・アルバースが来た!

レストランなどでポスターが飾られているのでお馴染みのジョセフ・アルバースのhommage to the squareシリーズ。FBでアップされていたのでいいね!を押しながら,絵を見て衝撃が走ったので、その理由を書きたくなった。傍に画像が欲しいと思い、プリントアウ…

勝又豊子展<封印された皮膚>

久しぶりに書きたくなったので、書く。今日、横浜の石川町へ勝又豊子展<封印された皮膚>を見に行った。以前から拝見していたのだが、中々作品に入り込めずにいた。今日は入り口が微かに見えたように思えた。彼女は身体をモチーフに作品を作り続けている。…

ミヒャエル・ボレマンス展

雨と風の中ミヒャエル・ボレマンス展に行ってきた。久しぶりの原美術館だった。前もって画像で作品を確認していた時、作品が小さいことに気付いた。私も作品の大きさについて考えていることがあったのでとても興味を惹かれた。お面を付けている人、うつむい…

存在。この不思議な感覚。

最近描いた絵を眺めていたら、「存在」という言葉が浮かんできた。不安から逃れるために絵を描き始めた私にとって絵画という存在はいったい何なんだというのがずっとあった。それは「不安」と「存在」というのがセットになっているからかもしれない。不安だ…

ナンセンスについて

私はハンス・アルプに影響を受けている。彼は自身の作品について「偶然の法則」という制作方法を語っている。偶然と法則は一見矛盾しているかに見える。しかし彼はそれを自然という媒介を経て、生成する形を探求していったのである。ちぎった紙を使ったコラ…

点を打つこと。

私は色を塗ったキャンバスに点を打つ。それは無造作に打っているように見えるが、そうではない。その、どこにどういう風に点を打つのかが私の表現の始点であり終点でもある。そこで意識されているのはリアルな感覚である。点を打つ時私の感覚が求めているの…

同定しがたい感じ。

昨日仕上がった作品を見ていて、良い作品だなと思った。いつも出来上がった作品を見てそこから触発される思考に身を任せるのが習慣になっていた。今回の作品に関しては前回当たりが付いてきた部分を除外してまた新しい状況が生まれるのを期待していたのだっ…

描くこととイメージ

先日図と地の問題のところで、「絵画の問題」を描くこと自体からイメージへとスライドさせたと書いた。自分でも書きながら説明が欲しいなと思い、今日書いている。 私は絵画がどこから始まるのかという疑問を持っていた。それを検証するために何を描くかでは…

図と地の問題

ずっと私が追いかけている絵画の問題として、図と地の問題がある。要するに認識する対象と背景の関係のことである。これは当時精神的に困窮していて、絵を描かざるを得なくなった時に感じた感覚に端を発している。それは私が社会と折り合いが付かなくなり、…

反実体絵画

自分の作品を説明する言葉を昨日から考えている。以前考えたものでは「見えない広場」「存在の余白」「見ることを見る」「描く事を描く」「忘れられた痕跡」など今考えると不可視なものばかりであった。私は作品を作り始めの頃、人はどのように形を認識して…

見せることへのためらい”若林奮”

先日、若林奮の「仕事場の人」展を多摩美術大学美術館へ見に行った。知人からもらったパンフレットに”見せることへのためらい”というタイトルの文章が載っていた。そのタイトルが気になりながら私は美術館へ向かった。今まで気になりながらも中々見に行く機…